昌子の広場第80報をアップしました。
今月は議員定数削減条例可決と私のこの議会での一般質問の内容を報告しています。
議員定数削減に反対し、議員報酬削減条例を提案しましたが、残念な結果となりました。削減された24名の定数で次の選挙が行われることになります。
議員は今回の町会連合会からの要請を真摯に受け止め、議員として自信を持って市民に説明できる議会活動を展開せねばなりません。そうしないと再び市民から厳しい要求を突きつけられる可能性も否定できません。
会報第80報
以下は反対討論の内容です。
道路特定財源の維持に関する意見書に反対の立場で討論します。
道路特定財源の見直しについては、一昨年12月8日の閣議において道路特定財源について、これまで、その全額を道路整備に充てなければならないとされてきたものを、「真に必要な道路整備は計画的に進める」、「一般財源化を前提とした国の道路特定財源全体の見直しについては、税率を維持しながら、納税者の理解を得ることとの整合性を保ち、税収の全額を、毎年度の予算で道路整備に充てることを義務付けている現在の仕組みはこれを改めることとし、20年の通常国会において所要の法改正を行う。また、毎年度の予算において、道路歳出を上回る税収は一般財源とする」等の方針が定められました。
これは、半世紀にわたり続いた制度を改める画期的な改革で、これにより、今後、道路特定財源については、毎年度の予算において、真に必要な道路整備を進めつつ、これに要する財源を上回る税収については、使途の限定なく、各種の経費に使われることとなり完全では無いものの道路特定財源の一般財源化の方向が決まったものです。
ところが、二〇〇八年度予算案では、道路特定財源の国費分三兆三千三百六十六億円のうち、一般財源化は前年度比約百億円増の千九百二十七億円にすぎません。
道路特定財源については、その使途が特定されているため、不要な公共事業としてキツネやタヌキしか通らない道路ばかり作っているという極端な議論も聞かれます。今後必要な道路に59兆円が必要とされていますが、その根拠となった交通量予測はずいぶん前の数字をもとにしたもので、新しい交通量の予測では数字が小さくなっています。今日の財政事情は破局的と言われるほど厳しい状況であり、道路整備に特定した財源を保有するような余裕はありません。財政難による福祉の切り捨てや、税方式の見直しなどによる重税感など国民に大きな負担が強いられています。このようなときに税収の貴重な財源の使途は、真に必要なものに優先して当てられるべきであって、道路特定財源の様に使途を特定する財源を保有すべきではありません。道路や関連整備への投資はその財源が特定財源として担保されていなくとも、それが真に必要なら予算措置をすれば良いのです。道路に投資すべきか教育や社会保障に回すべきか等の選択は政策として決定すべき事です。最近の世論調査では実に59%もの人が一般財源化に賛成しています。
自治体がこぞって特定財源の維持を表明していますが、これも従来から地方での裁量の余地を拡大して欲しいと主張したことに矛盾します。とにかく財源は従来通り確保したいとの一念にしか思えません。
暫定税率の廃止については慎重にならざるを得ません。本来暫定と言って数十年も続くものは最早暫定ではありませんが、昨今の厳しい財政運営の中で、それを唯一の理由にして廃止を主張するのはいかがと思います。一部環境税とするなど当面この税率に相当するものは確保すべきと考えます。又一般財源化に伴う受益者負担の問題については酒税やたばこ税なども普通の税以上に徴収されていますがそれらは一般財源で特定財源ではありません。更にガソリンを使うドライバーだけが負担しているのかと言えば必ずしもそうとは言えません。ガソリンの価格は運賃に影響し、今は宅配便など交通輸送の便益を受けていない人は少数で、多くの国民は間接的にこの税金を負担していると言えます。
以上、道路特定財源の一般財源化を主張し、当面暫定税率は維持し環境税への転換等恒久税とすることに国民の理解を求めるべきです。
町会連合会から強く要請されていました議員定数の削減について、議員提案の2名削減の条例が賛成多数で可決されました。私たちの会派が提案した報酬削減条例は賛成少数で否決されました。左表が各議員の賛否です。
私は議員定数削減には市民の多様な意見が反映しにくくなるとして反対しました。財政的な問題は議員の報酬削減で対応すべきと考えたからです。
財政面から要請される議会費の削減は、端的に言えば議員の数を削減するか、報酬を削減するかです。しかしながら議員定数の削減と議員報酬の削減では議会にとって全く異なる性格のものです。議員定数は多様な住民の意向を反映しなければならない地方自治体の議会活動に大きく影響するもので、少なくとも議会自らがそのような方向をとるべきではありません。
今回の町会連合会の要請には、多くの市民が行政サービスを削減されるなどの痛みを受けている中で、議会は何をしているのかとの思いがあることは否定できないと思います。そうすると今回可決された議員定数の削減はこの削減により議員になれなかった2人だけが痛みを受けることになり、多くの議員は選挙に勝ち残れば従前と何らの違いはありません。一方議員報酬の削減は議員全てが等しく痛みを受けることになり、市民から要請されている痛みを分かつという趣旨からは適当であると考えます。
それにしても、この問題は議会改革検討委員会で長きにわたって議論されてきたもので、その過程では議員定数削減には否定的意見が多かったにも拘わらず、選挙を控え従来の主張を変えたかのような議員の判断は極めて残念です。
今回の町会連合会の意志を真摯に受け止め、議員はその使命を誠実に果たさなければ、再び定数削減の波におそわれ議会が自壊の道を転がり落ちる事にもつながります。新しい定員で精一杯の議員活動が今問われています。
議員賛否(PDF)
今回町会連合会から出ていました公開質問に回答しました。
回答の趣旨は「議員定数の削減には反対、議員報酬の削減で対応すべきである」というものです。
議員定数の削減は、多様な意見を代表する新たな議員の実現に大きな障害となり、当選回数の多い地盤の強固な議員が固定化する危険性があります。この結果議会はマンネリ化し、新たな行政課題への対応力を失う事につながる恐れがあり、議会の活力も又失うことになるでしょう。
又、この定数削減はこれにより議員になれなかった人にのみ痛みを負わすことになり、選挙を勝ち抜いた人には何の痛みも伴いません。それに比べ報酬削減は全ての議員に等しく痛みを負わするもので、町会連合会からの要請の趣旨にも添うものです。
この趣旨に沿って「議員報酬の10%削減」の条例を今議会に提案することになりました。
公開質問への回答(PDF)
熊取町で大阪府内で初の「議会基本条例」が制定される見込みという新聞報道とシンポジウム開催の記事がありましたので参加してきました。
この条例は18年5月に北海道栗山町で制定されてから、にわかに脚光を浴びています。今多くの地方自治体の財政が逼迫し、それにつれて議員は一体何をしているのか。市民サービスが削られる中議員は率先垂範すべきではなど住民の声が上がっています。
熊取町も例外ではなく、「議員は何をしているのか。見えてこない」など町民と一生懸命仕事をしているつもりの議員とでは意識に開きがあったそうです。
その後栗山町に出向き、議会基本条例に基づき運営しているまちの様子を知り、熊取町とのその雲泥の差に驚いたそうです。
今日は三重県伊賀市で「議会基本条例」を作ることを公約に掲げ、議長選挙を勝ち抜き議長になられた安本美栄子議員が基調講演をされ、その後6人のパネラーによるシンポジウムが繰り広げられました。
安本さんのお話では伊賀市でもすんなりいったわけではなく、議員側の「今より忙しくなるのはいや。今より勉強するのはいや。今より比べられるのはいや」といったことで反対の議員もいたそうです。
しかし前年度の議長が「議会基本条例」の策定を公約にしながら出来なかったことを反面教師にして、まず「議会のあり方委員会」を設置し、3ヶ月で83団体、500人の意見を議員が聞いたそうです。その後パブリックコメントを実施し19年2月に制定されたそうです。
実施後は議員は勿論、住民も行政もいいほうに変化しているとの事です。
住民に支持されない議会や議員には要求がエスカレートするばかりです。
お互い腹蔵なく話し合いを行い、理解することが大切です。そういった観点からも今日のシンポは実りあるものでした。
熊取町議会の積極的な態度に大いに敬意を表し、和泉市でもいつの日にか「議会基本条例」の制定が出来る日を努力したいと思いました。